季刊誌 駒木野 No.186
新年度を迎えて
理事長 菊本 弘次
青溪会は新たに30名を超える新入職員を迎えて新年度をスタートしました。今年度は5月から平成から新年号となり新しい時代を迎えます。青溪会は、これまでも時代の変化に対応し、柔軟かつ大胆に歩んできたと自負しています。努力を怠らなければ、地域で暮らす精神障害者とともに豊かな時代を作り上げることは可能であると信じています。
新年度の始まりは、私自身、院長として11年目の始まりです。少しだけ振り返ります。平成21年4月、原常勝理事長に見守られて、現在はPSW、OTのスタッフルームとなっている集会室で院長として初めての入職式を迎えました。同年5月には全個室病棟であるC3病棟を精神科救急病棟として運用を開始。平成22年からは児童精神科外来を創設、平成24年7月新病棟完成により、児童精神科病棟を開設するとともに精神科救急病棟を2病棟とし、子供から高齢者まで切れ目のない精神科医療をより迅速に身近に提供する体制を整えました。平成25年にはサービスステーション駒木野に加え、アルコール総合医療センター、こまぎの子どもセンターすこやか、高齢者医療センターというクラスター部門を創設し、病棟の垣根を超えた柔軟な活動、地域との重層的な連携を充実させてきました。また平成28年には7か月の限定でしたが、地域移行機能強化病棟の運用に取り組みました。平成30年には病床数・病棟の削減を実施し、法人全体の人的資源の集約・集中をはかりました。
また、駒木野病院は従前より地域の医療・福祉資源との協働を重要視し、病院機能に特化することに注力して参りましたが、待っているだけのサービスから脱皮すべく精神科地域資源の主体的な担い手としての事業活動を開始しました。平成26年4月のこまぎの訪問看護ステーション天馬の開設を端緒とし、平成29年にはグループホーム駒里、平成30年度にはこまぎの相談支援センターを、そして平成30年10月からはこまぎの訪問看護ステーション天馬北野事業所、グループホーム駒里新ユニットを開設しています。
一方、平成27年3月に加藤元一郎先生が急逝し、平成30年7月には原常勝先生が86歳の生涯を閉じられました。その衝撃は小さなものではありませんが、精神障害者の回復のため、職員一人一人が各々に与えられた場所で自信と誇りをもってその役割を全うできる病院であり続けることがお二人のご遺志であると信じ、青溪会・駒木野病院は新しい時代を築いていきます。
2019年度 医療法人財団青溪会 入職式
2019年度医療法人財団青溪会の入職式が4月1日に行われました。今年度は入職職員として、新卒採用の看護師11名、作業療法士3名、精神保健福祉士2名、キャリア採用の医師5名、研修医6名、看護師2名、ケアワーカー4名、精神保健福祉士3名、合計36名が医療法人財団青溪会の職員として採用されました。
医療法人財団青溪会のこれから~新年度を迎えて~
訪問診療所の開設
専務理事・副院長 渡邉 任
この原稿を書いている今現在新元号はまだ分かりませんが、今年度は新しい試みのスタートに相応しい年かと思います。昨年度は当法人にとって訪問看護、グループホームの拡充、相談支援センターの開設と地域支援事業を拡大した年でした。そして今年度はいよいよ訪問診療を中心とした「こころの訪問診療所いこま」が10月北野に開設されます。これまでの入院医療を主とした病院がその中心にある地域精神医療に加えて、訪問看護と連携し地域により密接して寄り添う精神医療を提供していければと思います。私も地域支援プロジェクトマネージャーとして診療所の開設・運営に全力を注いでいきたい所存です。新元号のもと職員の皆様と共に新しい時代へ向けて地域支援事業をより発展させて行きたいと願います。
変化を組織の文化に
常務理事・看護部長 宮﨑 弘光
新入職者を迎え新たな気持ちで新年度が始まりました。今年度は新年号に代わる年でもあり様々なことが大きく変化する転換期になるかもしれません。近年、当法人はこまぎの訪問看護ステーション天馬、グループホーム駒里、こまぎの相談支援センターの開設など地域事業に力を入れてきました。さらに10月には訪問診療として北野に事業所がスタートします。このように法人は精神科の専門病院から地域医療・福祉へと活動の領域を広げ、精神障がい者に対する治療・生活支援と役割を広げ、病院と地域をつなぐ形へと変化してきました。当院の取り組みの歴史を振り返ってみても、全個室病棟や児童精神病棟開設など未知の領域に果敢に挑戦し結果を出してきました。その大きな原動力は、職員が変化することにやりがいや達成感を求てきたからだと感じています。「変化を組織の文化」にしてきた風土が人をつくり組織を活性化させてきました。今年も様々な課題にチャレンジしていきましょう。
共につくろう! 質の高い精神科医療・魅力ある職場
理事・副院長 田 亮介
訪問診療を中心とした診療所の開設を予定しており、医療福祉一体で我々の専門職としてのスキル・知識・経験を地域に提供できる大枠が完成することになります。病院については事業計画に示しましたように、治療抵抗性統合失調症治療薬であるクロザピンの治療導入、行動制限最小化への更なる取り組み、より魅力的なデイケアの検討、電子カルテのリプレイス等を実行していきます。さらにはA棟がオープンして8年目を迎え、次の病院機能・建物をどうしていくかということについて検討を始める時期がきています。我々が地域のなかで「何をやりたいか」「何をしなければならないか」を経営者任せではなく“当事者意識”を持って、つまり当法人で働く職員の一人として利用者視点も取り入れながら一緒に考えていただき、将来の精神科医療のあり方を具現化できる形を作るスタートをきっていきたいと考えています。
新元号を迎えるにあたって
理事・事務部長 井出 光吉
私事となりますが、平成5年に入職してはや25年が経ちました。入職したときは、今のC棟はなく、外来エリアは狭く、職員の顔、氏名は全員覚えられたものでした。しかし、入職してからC棟、A棟と新しい病棟が建ち、職員数は400名を超え、今や職員全員を覚えることは大変なことです。また平成という時代は、精神科の治療においても大きな変化が起こった時代ではないでしょうか。新しい治療薬が次々と発売され、病気を発症した後のQOLは格段に改善したのではないかと思います。5月からは新しい時代が始まります。国の医療政策によって、進むべき方向が左右されることがあるかもしれませんが、地域にとって必要とされる医療・福祉活動を続けていくことが大切ではないかと考えています。
医療法人財団青溪会平成の変遷
平成元年 | 1989年 昭和から平成へ |
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平成6年 | 1994年 原常勝理事長・院長就任 |
平成8年 | 1996年 C棟(認知症治療専門病棟、全個室病棟)完成 545病床に変更 |
平成10年 | 1998年 510病床に変更 |
平成15年 | 2003年 みなみの森クリニック開院 502病床に変更 |
平成19年 | 2007年 500病床に変更 |
平成21年 | 2009年 加藤元一郎理事長就任 菊本弘次院長就任 みなみの森クリニック閉院 |
平成22年 | 2010年 児童精神科外来開設 |
平成24年 | 2012年 A棟完成(児童精神科病棟、MRI導入) 482病床に変更 |
平成25年 | 2013年 クラスター3部門創設 (アルコール総合医療センター・高齢者医療センター・こまぎのこどもセンター) |
平成26年 | 2014年 こまぎの訪問看護ステーション天馬 開設 |
平成27年 | 2015年 菊本弘次 理事長 就任 |
平成29年 | 2017年 グループホーム駒里Ⅰ 開設 475病床に変更 |
平成30年 | 2018年 グループホーム駒里Ⅱ・Ⅲ、ショートステイ駒里 開設 こまぎの相談支援センター 開設 こまぎの訪問看護ステーション天馬北野事業所 開設 447病床に変更 |
令和元年 | 2019年 こころの訪問診療所いこま 開設予定 |
平成を振り返って
平成元年入職 駒木野病院看護部副部長 鬼塚 愛彦
平成元年4月に入職して勤続30年、次の元号まで残り僅かとなりました。振り返れば、平成7年に精神保健福祉法へ改正、平成16年に精神保健医療福祉の改革ビジョンの提示、そして多発する大震災や異常気象による天災、国際テロなど突発的な出来事に即応できる災害時医療体制の再構築、超高齢社会に対応するための平成27年の地域医療構想策定など、精神保健医療福祉が関連することだけでも内容の詰まった時代になりました。このような状況下、現在、看護部副部長として、病院は地域との連携・共生への現実感のある実行可能な仕組みや方法を構築し、これを実行できる人材を育成することが急務であると痛感しております。当法人の理念である「心のこもった、質の高い精神医療」の更なる向上を目指したいと思います。
第69回全関東八王子夢街道駅伝競走大会
陸上部同好会 島田 毅史
平成31年2月10日(日)に開催された今年の駅伝は、4月入職の岩垂先生にも参加していただき、医師2名、看護師1名、作業療法士1名で臨みました。前日に雪が降り、凍結による中止も心配されましたが、当日は快晴となり無事に開催されることとなりました。沿道からの「駒木野病院頑張れ!」という声にも後押しされ、皆で力を合わせタスキをつなぐことができました。
RUN伴+八王子
アルコール総合医療センター 宮脇 真一郎
RUN伴+八王子は「認知症と伴に走る」をテーマに八王子市内の認知症に関わる施設職員がチームになって走りタスキをつないでいます。昨年の第4回目は45施設の参加があり、年々参加者が増えています。認知症を支えるのに、駅伝のようにタスキをつないで意味があるのか?答えは「ある」です。タスキをつなぐときの、認知症当事者の方の笑顔が素敵でうれしくなります。人と人とのつながりができることは、やはり人を支えることに繋がるので、今後も継続して参加していきたいと思います。
青溪会理念
[こころに寄り添い、生きる力を支援]
【皆様への五つの約束】
- 私たちは、地域社会の一員として、一人一人の心の健康を全力で支援します。
- 私たちは、専門医療・福祉機関として医療サービス内容のたゆみない向上に努めます。
- 私たちは、安全、快適、さわやかな接遇を心がけ、安らぎと回復の場を提供します。
- 私たちは、「その人らしい生活」を目指し、本来の力を引き出し、育むことに尽力します。
- 私たちは、全てのご利用者が満足し納得できるよう歩み続けます。