季刊誌 駒木野 No.187
医療法人財団青溪会
こころの訪問診療所いこまについて
こころの訪問診療所院長 渡邉 任
今秋10月1日、こころの訪問診療所いこまが京王線北野駅前に開業します。かつて当法人が開設したサテライト型診療所とは全く違うコンセプトの精神科訪問診療に特化した診療所です。高齢化社会における在宅医療は脱入院療養の流れであり訪問診療はその担い手です。その対象者の多くは高齢であり身体的理由で通院が困難な方々です。勿論精神科訪問診療でもこのような高齢者で精神障害を患っている方々も対象となりますが、その枠に止まらず引き籠りなど精神科疾患がもつ特有な理由で通院治療につながらない方々や、精神疾患のため多くの支援のもとでかろうじて地域生活を送くられている方々など様々な理由で通院が困難な方々が対象となります。また,このことを実践する上で、入院治療を中心とした病院という単位から離れ、在宅・地域というフィールドにより溶け込んだ身近な存在の診療所という単位で取り組むことが重要だと私は思っています。将来的にはこの診療所を中心とした包括的な地域精神医療を提供する多機能型診療所へと発展していければという夢もあります。開業後、地域の医療、介護、福祉と協力し合い地域に役立ち信頼される診療所を一日も早く作っていければと思います。
訪問診療所の開設について
開設準備室室長 今井 正
今年の10月1日に八王子の北野駅前に「こころの訪問診療所いこま」を開設する予定です。この原稿を書いている時点でもう少しで診療所の工事が終わりそうです。工事関係者の協力もあり予定通りに進んでいます。最初は何もない空間だったところに設計図どおりに床や壁ができ、今は診療所の形がほぼわかるようになっています。この1年準備を進めてきましたが診療所が形をみせるようになっていよいよという気持ちになってきました。これまで当法人はこまぎの訪問看護ステーション天馬、グループホーム駒里、ショートスティ駒里、こまぎの相談支援センターが地域へ事業所を展開しています。駒木野病院だけでなく同じ法人の他の事業所と力を合わせて、当法人理念である「こころのこもった、質の高い精神医療」に近づけるように努力していきたいと思います。地域ネットワークとの連携すること、日々研鑽を積み提供できるサービスの質を高めることを忘れずに、利用される方が安心してやすらぎを感じられるように姿勢を忘れず、利用者の方の想いを大切しながら共に考え充実した社会生活を送っていただけるような支援をしていきたい。これは青溪会が作り上げてきた文化です。私も青溪会の一員としてこの文化を忘れずに地域医療に貢献していきたいと考えています。
SPECIALきかく
デイケアっておもしろい!!
デイケアに参加してくれている患者さんをメンバーと呼びます。
デイケアとは、スタッフとメンバーが一緒になっていろんな事にチャレンジできる場所です。
誰かがデイケアで美術展がしたい!と言えばレトロポップと名付けて、ドアをペンキで塗ってチラシまで作って2週間も開催しちゃいました。レトロポップ展のようすは下欄でもご紹介しています。
また、誰かが節分には福の神があらわれると言えばこうして本当に姿を現しちゃったりします。
メンバーから、そんなデイケアのおもしろい!ところを聞いてみました。
これを機にメンバーにスタッフの印象と似顔絵をかいてもらっちゃいました!
レトロポップ展~こまぎの美術館へようこそ~
2019年6月にレトロポップ展を開催しました。日頃の創作プログラムで作成された個性豊かでイキイキとした作品が総勢50点も揃い、賑わいのある展示となりました。また期間中は院内外、ご家族、他機関など約150名の方々に足を運んでいただき大変暖かいメッセージも頂戴しました。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました!デイケアがメンバーにとってのびのびと表現できる場となっていることを改めて認識しました。早くも9月の駒木野フェスティバルで第2弾アート展を開催予定です。ぜひお越しください!
Be yourself !! Join the るつぼ !!
最後に、デイケアで行われている日常のプログラムをご紹介したいと思います。いろんなことにチャレンジできる場所でもありますが、ゆっくりと過ごすことやまずや参加することを目的にするような場でもあれるように工夫を凝らしたプログラム編成を心がけています。メンバーの病状の回復と新たな活動に向けて、自身の目的に応じたプログラムをご用意しています。メンバーに応じたリカバリーを少しでもお手伝いできればと思っています!あっ、最近インスタグラムを始めました!(komagino_dcで検索!)
『開いてみよう新たな扉 』~信じてみよう自分の力~
こまぎのフェスティバル2019開催決定!
昨年のイベントでは、多くの皆様にご来場いただき楽しい1日を過ごせたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
さて、令和元年のフェスティバルでは、メインテーマを『開いてみよう新たな扉 』と致しました。 当日は、隣接する高尾駒木野庭園とも共催でイベントを開催させて頂きます。また当院の会場内では特別講演会やスポーツイベント、様々な参加型の企画など、子どもから大人まで楽しみながら参加できるイベントを沢山ご準備しております。当院のWEBサイトに、詳細なイベント情報を掲載してまいりますので、是非ともご覧ください。
日時:令和元年9月22日(日)10:00~15:00 雨天決行(荒天時は中止といたします)
場所:駒木野病院高尾駒木野庭園
内容:当院のWEBサイトをご覧ください。
問合せ:こまぎのフェスティバル実行委員会代表042-663-2222
クロザピンについて
副院長 田 亮介
今年度の事業計画の一つである治療抵抗性統合失調症治療薬クロザリルについて、令和元年8月中旬から当院での運用が開始となりました。クロザリルは本邦では平成21年に上市され、国内ですでに8700例を超える方に処方されてきています。他の抗精神病薬と比較し、治療効果が大きい反面、無顆粒球症など重大な副作用があるため、治療導入にあたっては必ずCPMS(Clozaril Patient Monitoring Service)への患者様の登録と、医療スタッフの研修受講と登録が必要となります。運用開始に向けて「クロザピン導入プロジェクト」を立ち上げ、主に院内マニュアルの整備、血液内科を専門とする医師が所属する医療機関と連携体制の構築を中心に準備を進めてまいりました。従来当院で行われている修正型電気けいれん療法(mECT)に加え、難治性精神疾患の治療オプションの一つとして本剤の処方が可能になったことにより、地域の患者様に対して、より質の高い精神医療を提供できるものと期待されます。
学習ボランティアについて
サポートルーム 秋山 浩子
病院全体で学齢期の患者様が増えてきている中、A4病棟以外に入院中の学齢期の患者様においては、訪問教育の利用が難しく、入院中は学習環境から遠ざかってしまう状況にありました。そこで、サポートルームでは、今年度より外部ボランティア「NPO法人まらそんYour Schoolプロジェクト」と連携し、そうした状況にある患者様にご利用いただけるような学習支援プログラムを導入いたしました。少しでも学習に触れる機会を提供することによって、学校復帰に向けた準備や、退院後の生活への安心を増やせればと考えています。
青溪会理念
[こころに寄り添い、生きる力を支援]
【皆様への五つの約束】
- 私たちは、地域社会の一員として、一人一人の心の健康を全力で支援します。
- 私たちは、専門医療・福祉機関として医療サービス内容のたゆみない向上に努めます。
- 私たちは、安全、快適、さわやかな接遇を心がけ、安らぎと回復の場を提供します。
- 私たちは、「その人らしい生活」を目指し、本来の力を引き出し、育むことに尽力します。
- 私たちは、全てのご利用者が満足し納得できるよう歩み続けます。