季刊誌 駒木野 No.191
新年を迎えて
理事長 菊本 弘次
新年あけましておめでとうございます。皆さまには、穏やかな新年を迎えられたこととお喜び申し上げるとともに、旧年中のご厚誼に改めて感謝申し上げます。
言うまでもありませんが2020年は新型コロナウイルスの脅威に全世界が蹂躙された年です。我が国においても、感染封じ込めのために様々な施策や対策が実施されましたが、それらの対策を嘲笑うかのように新年においても感染拡大に歯止めがかかりません。駒木野病院で、2020年2月から毎週、臨時感染対策会議を開催するなど、職員一丸となって院内感染対策、水際感染防御対策を徹底してまいりました。2020年、散発的に当院外来患者様2名および病棟職員1名の新型コロナ陽性者を認めましたが、幸いにも、いずれも孤発例にとどまり院内感染事例やクラスターに至ることはありませんでした。職員一人一人の粘り強い努力の成果ともいえますが、なによりも面会・外出制限も含む当院の感染対策にご協力いただいた利用者様あっての成果であります。また入院時には基本的に1週間から10日程度の個室対応としたため、個室の慢性的不足状況が発生しました。そのため、地域・関係機関からのニーズに十分には応えられないケースもございました。紙面をお借りして陳謝いたします。
しかし、青溪会は足踏みをしてはいません。「こころに寄り添い、生きる力を支援」という新たな法人理念のもと、駒木野病院では2020年10月より効率的な人材配置と柔軟で魅力的なサービスの提供を可能とするため、SSK、アルコール総合医療センターなどのクラスター部門とデイケア部門を統合した「リカバリー総合応援部」を創設しました。ゲーム依存症専門診療プログラムも軌道に乗り、教育機関をはじめ様々な分野から大きな注目を頂戴するようになりました。法人全体として各部門・部署ごとにきめ細やかで具体的な目標設定と厳密な進行管理を実施し、新型コロナ禍の影響を完全に免れることは不可能ではありますが着実な結果を得ております。
さらに、2020年秋から新病棟建設委員会が始まり、今年早々には基本設計の段階に進みます。今後も、精神科医療を取り巻く環境は厳しいことは承知しておりますが、現在の昭和年代に建てられた病棟は、安心で適切な療養環境としては限界を迎えようとしています。新型コロナ蔓延の終息の目途がいつになるのかは不確かではありますが、精神障がい者の誰しもが回復というゴールにたどり着くには更なる時間と努力を要することは明らかです。「こころに寄り添い、生きる力を支援」することに全力で取り組む頼もしい職員が青溪会には揃っています。期待してください。新しい年が、利用者にも、地域にとっても豊かで実り多い年であるよう心より祈念いたします。
特集!コロナ禍における世界(日本)の出来事と院内の出来事
今年度は、新型コロナウイルスに翻弄された一年でした。生活様式にも大きな変化が生じました。主な出来事とともに、病院内の出来事を振り返ってみました。
新型コロナウイルスの影響でできなくなったこと
- 今までのように面会が自由にできなくなった。予約制となったり、面会
- 時間も制限されている。(全病棟)
- 食堂ホールが密にならないようにテーブルの椅子を半分に減らした。
- (A2病棟)
- ピアサポーターの病院訪問が中止となった。(E2病棟・B2病棟)
- 自助グループへの外出(アルメック)
- 自助グループによる院内メッセージ(アルメック)
- 外来者と入院者との合同グループワーク(アルメック)
- 駒木野懇談会・記念大会(断酒表彰式)(アルメック)
- アルコール講習会(入院・外来・家族向け)(アルメック)
- 外来者向け各種講座・栄養指導(アルメック)
- 外来グループワーク(アルメック)
- 家族会(アルメック)
- 集団クラフト(アルメック)
- 茶話会(アルメック)
- 女性クローズドミーティング(アルメック)
- 女性メッセージ(アルメック)
- レクリエーション(デイケア、アルメック)
- BBQなどのイベント(アルメック)
- ファミリープログラム(SSK)
- 事業所説明会(SSK)
- 八王子地域生活見学ツアー(SSK)
- 病院見学会、いっぽの会茶話会、元気のひろば(SSK)
- 連携訪問(SSK)
- 外来作業療法(作業療法)
できるようになったこと
- 院内メッセージがZoomで再開することができた。(アルメック)
- Zoomで行っていた自助グループによる院内メッセージを再開することができた。(アルメック)
- 入院者のグループワークを始めた。(アルメック)
- 駒木野懇談会を再開できた。(外来限定)(アルメック)
- 家族会を再開できた。(アルメック)
- 集団クラフトを再開できた。(アルメック)
- 女性AAメッセージがZoomを使用することで再開できた。(アルメック)
- レクリエーションを種目限定であるが実施できた。(アルメック)
- 長期入院患者対象のプログラム(ピアサポーターの病院訪問など)で、Zoom等を利用して開催できた。(作業療法科)
- 入院者向けと外来者向けで対象を分けて、いっぽの会茶話会、元気のひろばを再開できた(SSK)
2020年
1月 | 16日 日本国内で初めて感染確認 武漢に渡航した中国籍の男性 |
2月 | 3日 乗客の感染が確認されたクルーズ船横浜港に入港 13日 国内で初めて感染者死亡神奈川県に住む80代女性 27日 安倍首相全国すべての小中高校に臨時休校要請の考え公表 |
3月 | 9日 専門家会議「3条件重なり避けて」と呼びかけ 24日 東京五輪・パラリンピック1年程度延長へ |
4月 | 7日 7都道府県に緊急事態宣言「人の接触最低7割極力8割削減を」 11日 国内の感染者1日の人数としてはこれまでで最多700人超 16日「緊急事態宣言」全国に拡大13都道府県は「特定警戒都道府県」に |
5月 | 7日 国内の感染者1日の人数が100人下回る 14日 政府緊急事態宣言39県で解除8都道府県は継続 20日 夏の全国高校野球戦後初の中止決定 25日 緊急事態宣言約1ヶ月半ぶりに全国で解除 |
6月 | 2日 初の「東京アラート」 都民に警戒呼びかけ 19日 都道府県またぐ移動の自粛要請全国で緩和 |
7月 | 2日 東京都107人の感染確認100人超は2ヶ月ぶり 9日 東京都224人の感染確認200人超は約3ヶ月ぶり 国内の1日の感染者300人を超える5月2日以来 22日 「Go To トラベル」キャンペーン始まる 国内の1日の感染者795人過去最高 28日 国内の死者1,000人を超える(クルーズ船除く) |
8月~10月 | 8月~10月は、大きな出来事はありませんでした。 |
11月 | 7日 北海道警戒ステージ「3」にススキノで営業時間短縮要請 10日 政府分科会が緊急提言「急速な感染拡大の可能性も」 18日 国内感染者数が過去最多の2,201人に 日本医師会の中川会長「Go To トラベル」と感染「間違いなく十分に関与」 |
12月 | 3日 大阪府が「医療非常事態宣言」重症患者の急増で不要不急の外出自粛も要請 7日 大阪府知事不足懸念の看護師「自衛隊に派遣要請」と明らかに 8日 防衛省が医療ひっ迫の旭川市に看護師など10人派遣決める 15日 Go To トラベル全国一次停止へ地域限定の対応から政府方針転換 17日 京都の医療提供体制最も高い警戒レベルに初の引き上げ |
これから考えていること
- 入院患者も含めた今まで通りの駒木野懇談会ができる方法を検討したい。(アルメック)
- 駒木野懇談会記念大会を今まで通りに開催できる方法を検討したい。(アルメック)
- スマホ教室(SSK)
- 今のご時世ならではのZoom教室(SSK)
- オンラインでの家族交流(SSK)
- オンラインお茶会(SSK)
- 新たな形式での情報交流の場の模索・家族支援について検討したい。(SSK)
編集後記
明けましておめでとうございます。最近、「コロナと災害社会のあり方」という新聞記事の「コロナ禍で伝えたいメッセージ」のところで、『小林秀雄の本に「考えるということばの語源は体を使って行動することだとあった。意思をもって考え続けてほしい。』とか、『知ること、考えること、判断すること、最後に行動することが大切なのではないか。』などと書かれているのが目にとまりました。昨年からコロナに翻弄されている状況ですが、大事なものを見失わぬように、よく考えながら出来ることを見つけ具体的な行動や活動につなげていきたいと改めて思いました。本年もどうぞよろしくお願い致します。
リカバリー総合応援部部長 山口多希代
青溪会理念
[こころに寄り添い、生きる力を支援]
【皆様への五つの約束】
- 私たちは、地域社会の一員として、一人一人の心の健康を全力で支援します。
- 私たちは、専門医療・福祉機関として医療サービス内容のたゆみない向上に努めます。
- 私たちは、安全、快適、さわやかな接遇を心がけ、安らぎと回復の場を提供します。
- 私たちは、「その人らしい生活」を目指し、本来の力を引き出し、育むことに尽力します。
- 私たちは、全てのご利用者が満足し納得できるよう歩み続けます。