季刊誌 駒木野 No.163
新しいCIと今後への挑戦
事務部長 井出 光吉
昨今、医療業界を取り巻く環境は厳しさを増してきています。診療報酬の抑制、急性期医療と慢性期医療の二極化、慢性期医療の脱医療化などなど上げ出したらきりがありません。このような状況の中、すでに「駒木野」でもお知らせしてきていますように、新病棟には今後の精神科医療においては「新たな領域への挑戦」というべき「児童精神科病棟」が入ります。児童精神科領域への取り組みは、民間の病院では極めて稀ではありますが、これからは間違いなく必要とされる分野であるものと思われます。
たまたま、このような時期にホームページの全面改訂に取り組むことになり、改めて当院の顔でもある「ロゴマーク」について考える機会ができました。私が入職した当時は、入職した職員には全員に社章を配布していたように記憶をしています。そして、いつしかそれがなくなり、病院のマークを目にする機会も減り、職員の意識から遠ざかってしまっているように感じました。しかし、実は今でも封筒などには、そのマークはしっかり印刷されています。マークのことを職員に尋ねても、答えられない職員が大勢で、やはりこれではいけないと思い、この際に新たなロゴマークを考えようと思いはじめました。
まずまじめに、ホームページの業者の選定です。知識と経験が豊富な同僚とインターネットで調べに調べて、その中から良さそうな会社を選び、病院に来ていただき、こちらの意図を伝え、プレゼンをしてもらい、その中から依頼したい会社を一つ選びました。そして、その会社の社員でもあるデザイナーに病院の沿革、歴史などを事務長より伝えていただき、病院を見学してもらい「駒木野病院」を感じ取ってもらい、そのイメージを絵にしてもらうという作業を何度か繰り返しました。そして、出来上がったのが今回の「駒木野」で紹介させていただいたロゴマークです。緑豊富な高尾の山と病気が快復してく過程(道)が表現されています。
新棟が出来上がる、このタイミングで出来上がったロゴマークが、これからの駒木野病院の顔となり、職員、患者さんに愛され、また新しい児童精神科医療への挑戦のシンボルとなることを期待しています。
CI…Corporete Identity。企業イメージ統合化の意味。
納涼会と永年勤続表彰
昨年までは別々に行っていた行事でしたが、労働組合からの要望もあり、今年初めて永年勤続表彰式と納涼会を一緒に行いました。一緒に行うことにより、永く務めていただいている職員への感謝の気持ちとお祝いの気持ちが、今まで以上に全体に広がりを見せていたように感じました。
(文責:井出 光吉)
駒木野懇談会 第40回記念大会開催
テーマ:広げよう回復の輪 ~絆~
20011/8/28(日)13:00-17:00 八王子プラザホテル
医局 田 亮介
例年通り8月の第4日曜にあたる8月28日に駒木野懇談会記念大会が開催されました。
通常は当院の体育館を利用して行われていた記念大会ですが、新棟建設工事の関係で体育館の使用ができないため、今年は八王子プラザホテルで開催することになりました。毎年汗をかきながら「暑い中、ご苦労さま」と皆さんと声をかけあいながらの記念大会で、これもまた一つの風物詩のような感じでしたが、今年はホテルという快適な環境でありながらもいつもと違う緊張感のある、一味違った記念大会になりました。今年度より駒木野懇談会の代表となった竹田典子さんの開会の辞、理事長の挨拶から始まり、断酒を継続されている方々の表彰、体験発表に続き、森川すいめい先生をお招きして「東日本大震災とアルコール」と題して講演をしていただきました。森川先生には震災以降に時間をみつけて現地に出向き、被災者のこころのケアに携わってきた体験を通しての様々なお話をしていただき、物静かな語り口のなかにも実体験に基づいた迫力と熱い信念に触れることができ、多くの方が聞き入っていました。
プログラム
開会の辞:駒木野懇談会代表 竹田 典子
理事長挨拶:理事長 加藤 元一郎
表彰式:1年・2年・3年・5年・7年・10年・15年・25年
体験発表:回復の歩み
講 演:「東日本大震災とアルコール」
森川 すいめい先生
平成23年度 防災訓練(首都圏直下型地震想定)
日 時:平成23年9月1日(木)13:15より実施
対象者:南病棟・北病棟・デイケアなごみの患者様(約200名参加)
参加者:職員・西浅川町会の皆様・駒木野町会の皆様
今回の防災訓練は、今後予測される「首都圏直下型地震」を想定した訓練としました。今回の訓練からは、昨年交わした「防災協定」をもとに、地域の皆様にも訓練に参加していただきました。実際の訓練では、東日本大震災の記憶も新しい中、真剣に参加する姿が見受けられました。避難開始から完了まで14分で避難が完了し、概ねスムーズな印象でした。今後も、様々な想定で訓練を行いながら、有事の際に患者様と職員の安全が確保できるように、努めていきたいと思います。
(文責:井出 光吉)
高尾の森わくわくビレッジ
看護部主催 わくわく宿泊研修開催
南3病棟 園田 亜弓
今回の研修は、私にとってとても有意義な研修になりました。フィジカルアセスメントの研修では、病棟で遭遇する機会の多い患者様の訴えが、事例として提示されました。入職して6ヶ月が経ち、患者様への個別的な関わり方が自分なりに掴めてきた中で、関わりの根拠を意識することが少なくなっていました。6ヶ月間で得た知識や経験を思い返して同期の仲間と意見を出し合いアセスメントすることで自分の思考過程や看護の根拠を再認識する機会となり、新たな視点を見出すことができました。
また、同期の仲間と苦楽を共有し、それぞれの役割を見つけて協力することで、チームワークの大切さを改めて実感しました。
この研修で自分が今後大切にしていきたいと思ったことや、新たに学んだことを実践して生かすことができるよう努力していきたいと思います。
児童精神科外来開設にあたって
近年、少子化社会において、子どもの精神的問題や発達障害児への支援のニードはむしろ高まってきています。加えて、核家族化などの社会的背景のもと、児童虐待の増加にみるように育児環境の脆弱性が明らかです。このような時代、精神的に何らかの逆境にある子どもの気もちを安定させることは大切で、それは、可能であれば親の保護のもとにしっかり支えられることが望ましいものです。しかし、病状が不安定すぎて親元では保護しきれないお子さんや、症状もさることながら親が何らかの事情で子どもを保護できる状況になく、家庭内では葛藤や混乱が増長してしまうような場合、入院という治療構造が必要となります。児童精神科病棟では、子どもが安全に安心して過ごすことができる環境を整え、病状の回復と安定を目指すのみならず、その間にも心身ともに成長する子どもの育ちを総合的に支える専門治療を行います。保護者への支援も重要です。そのためには、看護師、作業療法士、心理士、ソーシャルワーカーなどすべての職種の知恵と技術とつながる心が必要です。栄養面や環境整備のためには、栄養課や施設係の方にもお世話になることがとてもたくさんあるでしょう。これからの日本を支える子どもたちの回復と育ちの場として、十分な専門性を持った明るい病棟を作り上げていきたいと思います。
ご相談にのらせていただく症状の例
- 集団不適応、学業不振、不登校
- 眠れない、朝起きられない
- 注意力障害、多動、著しく落ち着きがない
- 友達とうまく付き合えない、対人恐怖が強い
- 落ち込み、不安や怖がりが強いあるいは長引いている
- 家庭内での問題行動
- 「死にたい」と言う、リストカット
- 思春期の深刻な心理的問題
- 家庭や施設での養育困難な状態
新病棟建設経過について
現在、来年5月末の完成を目標に新病棟の工事が進んでおります。大きなトラブルもなく基礎工事、地下1階、地上1階の躯体工事が完了し、11月中には地上2階の躯体工事が完了する予定です。また工事の進行に合わせて、各フロアごとに内装の仕上げや壁の位置、各設備の仕様や位置など、細部にわたって確認を進めております。今後も、施工会社(戸田建設株式会社)を中心に、安全な工事を進められるよう努力してまいります。
(文責:井出 光吉)
平成23年度東京都医業健康保険組合ボウリング大会 個人戦 優勝!
この度、東京都医業健康保険組合開催のボウリング大会にて、検査科の木下 真紀さんが個人戦にて優勝いたしました。おめでとうございます!試合のゲーム形式は、3ゲームトータルピン方式(3ゲームのスコアの合計ポイント)で、優勝スコアは536でした。多くの参加者の中で、3ゲームを通して安定した投球を行えた事が優勝の決め手となりました。来年も、是非とも優勝を目指し頑張ってください。
編集後記
東日本大震災から6ヵ月経過した。病院からもスタッフが派遣された被災地、郡山においても8月31日に避難所閉鎖の儀がとり行われ、その後ガランとした人の居ないビックパレットがニュースで報道され感慨深かった。段ボールで仕切られた居室スペースとは別に、避難者自らが協力して運営していたお茶のみ場、よくその場所で血圧を測った。「ここ(避難所)に居れば金も使わず楽だわ」と大変だろうに、明るい発言をされる方。たぶん知的な障害をお持ちなのだろう、黙ってうなずきその場にいるだけだが受け入れられていた方。みな何処へ行ったのだろうか、あのコミュニティは形を変えたにせよ守られたのだろうか…。H